若い頃、ニュースフィルムで、神宮での学徒出陣やナチスの軍事行進の光景を観ると、なぜか自然に涙があふれてきた。それがどのような感情に動かされたものか、またどのような理性的な反発なのか、自分でもわからないできた。

 65年という歳月を経て、その意味するところが判然としてきた。
Friedrich August von Hayek フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク(1899-1992、ウィーン生まれ、オーストリア学派の経済・哲学者)の著作を読み進むうち、それは強制される行動への悲痛な叫びであり、同情であったのだと直感した。

 ハイエクはいう。「『組織』は社会主義の本質そのものである。このことは自然主義的な概念を社会の諸問題に適用することによって社会主義を導き出したすべての社会主義者たちにもあてはまる。『組織』こそがフランスで19世紀初期、社会主義が発生したときに、運動の根源をなした概念である」

 「マルクスとマルクス主義者は、自由という抽象な理念に対して、熱心にユートピア的に固執し過ぎた。このため社会主義にとって不可欠な『組織』という基礎的な考えを置き去りにしてしまった」

 ハイエクは、経済的世界戦争と呼ばれた第一次世界大戦が、人類の歴史の中で、宗教改革、フランス革命に次ぐ重要なできごと(精神遺産)で、『自由』と『組織』という二つの相反する大きな原則の衝突だったと説く。そしてこのなおざりにされた『組織』が、どのように全体主義的な国家観に育っていくか詳細に指摘している。

2013/4/14